酢酸菌の生化学的酸化作用をはじめて発見したのは、狂犬病ワクチンの発明などで有名な細菌学者、パスツールです。
ある時、パスツールはワイン製造業者から依頼されて、ブドウ酒が酸っぱくなるのを防止する研究をしていました。酸っぱくなるのは酢酸発酵のためと知った彼は、さらに研究を進め、ついに酢酸菌の有効な働きを発見したのです。
マイナス要因に関する研究を進めているうちに、逆に新しいプラス効を発見する化学研究には、こんな面白い例がたくさんあります。ちなみに、この時パスツールが考案した『低温殺菌法(パスチャライズ)』は、ビールや牛乳の製造にも応用されています。