ひとつの脂肪酸は飽和脂肪酸、つまりパルミテン酸やステアリン酸です。もうひとつは不飽和脂肪酸で、オレイン酸がもっとも多いでしょう。
つまりお肌を美しくするには脂肪の摂取が必要なのです。細胞の間にセラミドがあると、ここに水が維持されます。つまり水の蒸発を防ぎ、肌がカサカサにならないようにしています。老人性乾皮症という病気がありますが、これは皮膚のセラミドが非常に少なくなった状態で、いわゆる年寄りの肌特有のザラザラした肌になるのです。
美肌をつくるには、コラーゲン、セラミド、ヒアルン酸であることはわかっています。これをどうやって摂取するかが今後のポイントです。
肌の潤いに大事なのは、コラーゲンとセラミド、ヒアルン酸だということは理解しました。では、コラーゲンとセラミドが減らないようにするには何を食べたらよいのでしょう?
とにもかくにもまずコラーゲンです。コラーゲンはタンパクなので、そのまま吸収されることはありません。そこでコラーゲンは吸収されないから飲んでも意味がないという考えが支配的でした。ところが、コラーゲンを与えた動物の骨密度が多くなるとか、血圧の低下が見られるとか、コラーゲンの合成速度が増すというようなことが分かり、どうもコラーゲンの成分、つまり分解産物のペプチドが吸収されるのではないかという考えが出てきました。
コラーゲンを人に飲ませると血中からペプチドが分離されます。このようなコラーゲンペプチドを飲ませると、かなり長い間血中にとどまっていることが分かったのです。
つまりコラーゲンの成分は吸収されるのです。ではコラーゲンまたはペプチドを飲ませると人に何かよいことが起こるでしょうか。まず肌の保湿性が高まることが分かりました。また皮膚の弾力性、可塑性が増します。関節炎の臨床症状がよくなったという報告もあります。最近ではコラーゲンの飲料としてのサプリメントが美肌のために勧められています。
コラーゲンドリンクとして売られています。その成分がどのようなものか、それが臨床試験で有効と判断されたかどうか不明なので、これがよいと勧めることができないことをお断りしておきます。しかしいつも品薄な状況を見ると、女性のハートを射止めていることは確かなようです。次はセラミドです。セラミドの成分は脂肪酸です。そのひとつは飽和脂肪酸でもうひとつは不飽和脂肪酸です。特に一価の不飽和脂肪酸が含まれます。一般にシリアルや全穀には不飽和脂肪酸が多く含まれます。ですから、朝、シリアルにミルクを加え、砂糖を振りかけて食べることは肌のためにも非常によい食べ方なのでお勧めします。ところでセラミドの合成を促進する因子にナイアシンがあります。ナイアシンは、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB3ともいいます。
水溶性ビタミンのビタミンB複合体のひとつで熱に強く、糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠なビタミンです。欠乏すると皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状を生じます。これを皮膚に塗ると肌荒れが改善するという報告もあります。もうひとつ美肌によいとされるものにヒアルロン酸があります。ヒアルロン酸は保水性が非常に高いので、化粧水や美容液などの保湿成分として配合されることが多く、また、糖類の一種なので経口摂取可能です。そのためにサプリメントや健康食品に配合されていることも多いのです。さらに、ヒアルロン酸を皮下注射した場合、一定期間(半年前後)は吸収されしわずにそこにとどまり妓を伸ばす効果があるとされます。